競走馬の成長や癖に関する用語を初心者でもわかるように解説

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本格化
成長とともに、馬体が充実して脚力が増したり、精神力がついて引っ掛からなくなったりする。 目に見えて競走能力が向上して、それを遺憾なく発揮できる状態になったことをいう。特に、本来能力があると思われていた馬が、調教やレースでそれまでになくいい動きを見せると、「いよいよ本格化か」などと、期待をこめていう。

馬体が育つ
身長が伸び、必要な筋肉が充実して体重が増え、馬体がたくましく成長すること。

内臓がパンとする
内臓が丈夫になること。例えば、下痢を繰り返していた馬が、成長とともに胃腸が丈夫になって、たくさん飼い葉を食べても消化できるようになる。すると馬体が十分に成長し、本格化にもつながる。

飼い食い
馬がエサを食べること。飼い食いがいいといえば、旺盛な食欲を示すこと。逆に、食いが細いといえば、飼い葉をあまり食べないこと。また、食いが落ちるとは、飼い食いの量が減ること。さらに、食欲不振で飼い葉を食べなくなることを、飼い葉があがるといい、一度落ちた食欲を回復したときには、食いが戻るという。

脚元がパンとする
脚が丈夫になること。または、脚の故障がすっかり治ること。ソエを痛がったり、熱をしたりした馬を無理に走らせると、さらに悪くなる恐れがある。そういう不安がなくなり、十分調教もでき、レースにも万全の状態で出られるようになったことをいう。

ソエが出る
まだ成長途上にある2~3歳の若馬は、レースを使ったり、厳しい調教を積んだりすると、前脚の膝から下あたりに骨膜炎を起こす。これをソエという。ソエを痛がるとは、馬がこの骨膜炎を苦にすること。ソエが出るうちはなかなか実力を発揮し切れない。が、ソエは成長とともに出なくなるもので、これをソエが固まるという。

トモ(後)が出る
成長とともにトモ、つまり腰や後ろ脚などの筋肉が充実して、見るからに後躯がたくましくなること。トモが張るともいう。

若さがある
競走馬としての精神的な未熟さをいう。例えば、騎手の指示を聞かず引っ掛かったり、他馬を気にして叩き合いになるとひるんだり…

走る気が起きる
若さがあった馬が精神的に成長し、レースに集中して走れるようになること。

競走馬の食事 朝食・夕食・水飼い
厩舎で与えられる競走馬の食事は1日に3回。朝食は8~9時ごろ、調教を終えて、シャンプーをすませてから与えられる。 次の食事は午後4時ごろ。この2回はいずれも飼い葉を食べさせる。さらに、夜8時ごろには水と青草だけが与えられる。これを水飼いという。

飼い葉の内容
馬は草食動物だから、本来は主に草を食べる。競走馬は激しい運動をするので、青草や干し草だけでは栄養不足。それで栄養価が高く消化もしやすい麦類や豆類なども合わせて与えられる。一般的な飼い葉の内容は、燕麦、ふすま(小麦の皮)、干し草、青草など。その他、にんじんやリンゴ、豆類、油かす、ニンニク、ハチミツ、角砂糖、塩などが適度に加えられ、場合によってはビタミン剤、カルシウム剤、ミネラル剤などが添加されることもある。1日の摂取量は12~15キログラムほど。水は1日に20~40リットルも飲む。

馬の好物
馬は甘いものが大好き。ニンジンやリンゴを好むのも甘味だからだ。さらに蜂蜜や角砂糖なども大好物。ただし、甘い物の摂りすぎは糖尿病の原因になる。また、放牧されている馬はゆっくりと移動しながら少しずつ草をはむが、好んで食べるのは丈の低い柔らかい草。イネ科の牧草ではチモシーやケンタッキーブルーグラス、マメ科の牧草ならクローバーやアルファルファなど。どちらかというと、マメ科の牧草の方を好むようだ。その他、野草ならササやチガヤ、ツユクサなどを好んで食べる。

競走馬の睡眠
睡眠時間は4時間
馬は立ったままでウトウトと眠るのが普通だが 疲れたときなどは脚を投げ出して横になったり、脚を折ってうずくまったりして眠る。特にレースに出走した日は疲れるので、横になって高いびきで眠っていたりする。平均睡眠時間は3~4時間程度だ。

馬も夢を見る
人間と同様に、馬も夢を見るようだ。眠っているときにふいにいなないたりすることもある。

習癖
馬が何かのきっかけで身につけてしまうくせ。中には馬生来の癖もあるが、多くは牧場や厩舎生活の中で身に着けた習癖。蹴る、かむなど、たいてい都合の悪い動作なので悪癖とも呼ばれる。扱われ方に問題があって人間に不信感を持つことで攻撃的なクセがついたり、狭い馬房の中で暇に任せて覚えたり、あるいは他馬のクセを真似たりして習い性になる。

蹴癖
人や他馬を蹴るクセ。後ろ脚で蹴る、前脚で叩く、あるいはかむ、逃げるという行為は、馬の本能的な防御方法だ。が、周りの人間を信頼し、何も不安を感じなければ滅多に蹴るものではない。馬の管理や取り扱い、馴致の過程で不信感を植え付けたことが考えられる。また中には、生まれつき警戒心の強い、神経質な性格の馬もいるだろう。このクセのある馬には、尾の付け根にリボンを付けて、周囲に注意をうながす。

咬癖
人や他馬にかみつくクセ。人をかむクセを持つ馬は、過去に不適切な取り扱いを受けて、人間に対して不信感を持っていることが多いようだ。

肯癖
うなずくくせ。パドックで歩いているときなど、首をガクンガクンと縦に振って、しきりとうなずいている馬を見ることがある。

さく癖
馬栓棒や牧柵などに前歯を当てて、空気を飲み込むクセ。空気を飲み込むときにグイッグイッという音をたてるので、グイッポともいう。馬栓棒の上にノドを乗せてする馬もいる。クセになるきっかけは、退屈しのぎだったり、他馬がするのを見て真似たり、ストレスが原因で始めることもある。空気を飲み込むと、疝痛の原因にもなるので、極力やめさせる。例えば、馬栓棒にタールをぬったり、プラスチックの筒をかぶせたり、ノドに革のバンドを巻いたりしてみる。

熊癖
動物園の熊がよくするように、前脚を開いて体を左右にゆするクセ。船揺すりともいい、人間でいえば貧乏揺すりのようなもの。馬房の中で退屈したときなどに始めたりする。脚や蹄に負担がかかったり、落ち着きが失われたりするので、やめさせるように努める。

後退癖
引かれたり、つながれたりするのを嫌がって後ずさりしたり、反り返ったりするク セ。後退きともいう。

身っくい
自分の胸前や前脚などをかむクセ。

馬添いが悪い
他馬が近づくと、攻撃しようとする馬をいう。


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