4つある馬の種類と性質や本能について

馬の種類

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馬の種類といえば、まっさきにサラブレッドを思い浮かべる人も多いと思います。しかし、「人間がつくった最高の芸術品」といわれるサラブレッドも、その歴史はせいぜい3百年ほどにすぎません。 なにしろ、人間と馬とのつきあいは5、6千年にも及ぶといわれており、それだけに馬の種類もかなり多数にのぼっています。 一応、日本では馬の種類を軽種、重種、中間種、在来種の4 つに分類して、それぞれ区別しています。

①軽種
スピードのあるタイプで、主に競馬や乗馬に使用されています。体型もスマートで、私たちが日頃目にする馬の多くはこの軽種に属しています。代表的な品種は、サラブレッド、アラブ、アングロアラブなどです。 サラブレッドは、イギリス原産の馬にアラブ系の馬を交配させてつくりあげたと伝えられており、バイアリー・ターク、ダーレー・アラビアン、ゴドルフィン・バープの3頭が基幹馬といわれています。世界のサラブレッドはその父系をたどると、上述した3頭にいきつくわけです。そういう意味では、サラブレッドほど素性の正しい動物は、どこを探しても他にはありません。

②重種
スピードには欠けますが、力があるタイプです。主に、農耕や運搬などに使われます。品種としては、ペルシュロン、ブルトン、クライズデールなどがあります。

③中間種
軽種と重種の中間に位置するタイプで、かなりのスピードで軽い馬車を引いたりすることや、乗馬などに適しています。主な品種にはセルフランセ、クォーターホース、 ハノーバー、 ハンターなどがあります。 中でもセルフランセは、フランス各地の質の高い乗馬を一本化した品種で、世界各国で人気があります。また、クォーターホースはアメリカ合衆国原産の品種で、ウェスタン用の馬として適しています。

④在来種
古くから日本にいた馬で、北海道和種馬(いわゆる土産子)、木曽馬、都井岬馬、トカラ馬などがあります。現在ではその数が極端に少なくなっています。 これら4種の他に、みなさんがよくご存知の馬としてはポニーがあります。これは成長しても体高(身長)が147cm以下の馬のことです。 髪をうしろで束ねてポニーのしっぽのようにたらすのをポニーテールといいますが、そうした髪型に代表されるように、ポニーは人間にとても親しまれています。 以上、馬の種類についてみてきましたが、乗馬に適した要素としては、運動能力が高く、しかも性格がおだやかで従順であることが求められます。そこで、軽種と中間種を配合するといったさまざまな試みが世界各地で行われています。

馬の性質
乗馬を始める前に、馬とは一体どういう動物なのかを詳しく知っておきましょう。 一般的に言って、馬はけったりかんだりするから恐い、というイメージをもつ人がいます。なんだか馬が攻撃的な動物のような先入観をもっているわけですが、それは明らかに馬の性質を誤解しています。 本来、馬はおだやかな草食動物で、他の動物に対して危害を加えるような性質のものではありません。ただし、かなり臆病なところがあり、いわば自分の身を守ろうとしてさまざまな行動に出るわけです。 ここでは、馬の性質について解説していきます。

馬の本能
馬は五感が非常に発達した動物で、特に聴覚の発達が抜きん出ています。それだけに音には敏感で、ちょっとした音にビックリすることがあります。 馬と接するときは、無意味な音を出したり、すれあうような音のする衣服を着用したりすることはぜひ避けてください。 また、ものごとを理解する能力は高いとはいえませんが、記憶力は優れており、一度覚えたことはなかなか忘れません。人間についてもよく覚えており、自分のことをかわいがってくれた人にはそれだけ従順になります。

馬の性質
馬の性質はおとなしく、人にもよくなつきます。 ただし、警戒心が非常に強く、特にうしろから近づいてくるものには恐怖心を抱きます。 その結果、自分の身を守ろうとしてけったりしてしまうわけです。うしろから不意に馬に近づくことだけは避けましょう。 馬を落ちつかせるには、あらかじめ声をかけたうえで、肩やくび、背中を軽くたたいてやればいいでしょう。好物のニンジンや草をあげれば警戒心をといてくれますし、喜んでくれます。

馬の表情
耳をピクピクと左右に向けたり、しきりに動かしたり、あるいは、馬体各部の皮膚をブルブルとふるわせたりするのは、馬が不安を感じている証拠です。そんなときは何よりも落ちつかせてあげることが大切です。 また、喜びを表現するときは、頭を上げ、尾も高く上げて、大きな呼吸をしたりします。 あるいはダイナミックにいなないて、喜びを精一杯に表すこともあります。 さらに、馬は甘えたいときは、自分の顔を人にすり寄せてきます。

馬の悪癖
けったりかんだりすることは馬の防御本能から出たもので、決して悪意はありません。 ただし、乱暴な扱いを受けたときに馬が怒ってかんだりすることはあります。その他、空気を大量に飲みこんだり(俗にグイッポという)、前足を開いてからだを左右にゆすったりする熊癖などがあります。

縁起のいい馬、悪い馬を旋毛で吉凶を占う
「つむじ曲がり」、あるいは「左巻き」。人間のつむじは、意地が悪いとかあまのじゃくとかを表わすと言われている。しかし、右巻きつむじは左巻きよりも少しだけ多い程度で、真ん中にあるつむじは比較的少なく頭頂よりやや右寄りなのが普通らしい。つむじ曲がりも左巻きも、さほど肩身の狭いものではないようだ。

馬は全身に毛があるので、昔はつむじ(旋毛)によって盛んに占いが行なわれていた。戦いの前に鹿の骨を焼いて、その割れ方で勝敗を占い、あるいは神社に奉納する相撲でその年の吉凶を占うように、武士が自分の乗馬を決めるときには旋毛でその馬の吉凶を占った。古式馬術の秘伝の書にも、旋毛占いが多く出てくる。

江戸時代の秘伝書によれば、旋毛がある場所によって、大吉から大凶までに分類されている。例えば、珠日、柏生、芭蕉は大吉。こういう旋毛は、ほとんどの馬にある。つまり、本来あるべき旋毛がその場所にあるのが、縁起がいいと考えられていたようだ。これらがないときには大凶ということになっている。縁起の悪い旋毛には、矢負がある。これは、矢筒が当たる場所という命名で、戦場で難ありとされている。また、眼の下にある旋毛は眼水と言い、涙が流れるという意味で凶。これは、本来の意味が忘れられて、語呂合わせのほうが幅をきかせた結果と思われる。

この旋毛占いには但し書きがついている。「本当によい馬だと思ったら、縁起の悪い旋毛があったとしても、持ち主の気持ちで判断せよ」という意味のことだ。 当たるも八卦、当たらぬも八卦ということだろうか。 かつて三国時代の中国の猛将・劉備は、凶相が出ていると指摘された馬を体よく押しつけられたとき、「何の馬一匹が私の生涯をさまたげるものか」と気にもかけず、敵に襲われたときにかえってその馬によって窮地を脱したという。吉とするも、凶とするも、人間次第か。
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