馬の歩行の種類と馬体の手入れ方法

馬体の手入れ

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馬体の手入れは、きちんとした手順でていねいに行わなければなりません。馬の健康を維持するためや、人と馬との交流を深めるためにも馬体の手入れは重要です。 具体的にどういうことをするのかというと、、蹄を清潔にしたりします。

◎ブラッシング
馬は、ほこりや泥土のために見た目以上に汚れています。また、全身を毛がおおっているためにフケも出やすいのです。 そこで、ブラッシングによって馬体の汚れを落とし、フケを取り去るわけです。 ブラッシングは毛並みにそって順序よく行います。くびから背中へ、背中から尻へ、そして肩から胸へと手順をふんでいけば良いでしょう。いきなり尻や肢から始めるのは、馬が不安を覚えますので、避けたほうが賢明です。 ブラッシングのあと浮き上がったアカなどはタオルできれいにふきとります。また、汗をかいたあともタオルで十分にふきとり、早く乾燥させてやります。 ブラッシングによって皮膚もマッサージされ、血液の循環も良くなります。慣れたら、耳、鼻、尻の穴なども手入れしてください。

蹄の手入れ
蹄を持ち上げて蹄底の点検から始めます。蹄につまった土や泥は鉄ぴ(裏掘り)を使って掘り出します。このとき、蹄鉄を軽くたたいて、しっかりしているかどうかも点検しておきます。 そのあとは、バケツに水をくんで、タワシやタオルを使って蹄の表や底を丹念に洗います。 そして、蹄の表面がなかば乾いたら、蹄を保護する油をぬります。これは、蹄を不潔にして湿ったままで放置しておくのを防ぐためのもので蹄油といいます

馬体と歩行
馬をよく理解するために、これまで馬の性質や種類をみてきましたが、それと共に欠かせないのが馬体についての知識です。 馬は4本足の動物なので、人間とは比較できない部分も多く、最初のうちは馬体の名称もよく覚えられないことがあります。しかし、レッスンを進めるうえで、馬体の名称はひんぱんに登場してきますので、主要な部分についてはかならず覚えておいてください。


馬の顔の中で人間と比べた場合、特に違っているのは、目がやや横向きについていることだといえるでしょう。 そのため視野が非常に広く、人間の想像もできないほど横のものが見えます。見えすぎるがゆえに、かえって警戒心が増すこともよくあるようです。

馬体
馬のからだは、前躯、中躯、後躯という3つの主要な部分から成っています。 頭・くび、前肢上肩などが前躯に含まれ、背・腹が中躯、腰・尻・後肢などが後躯に含まれます。 巨体を支えるわりには肢が細いのが特徴で、そのために肢をいためるケースもよくありま す。

歩行の種類
馬は4本の肢を使って、どのように前に進むのかを考えてみましょう。 馬の歩行には、主として常歩、速歩、駈歩の3種類があります。

①常歩
これは馬がゆっくりと歩くときの歩行で、4本の肢が1肢ずつ順番に運ばれます。その順番とは、①左後肢②左前肢③右後肢④右前肢となっています。 騎手が「イチ、ニー、サン、シー」と数えることができるほど馬が規則正しく歩くのが常歩であり、馬のすべての歩行の基本となるものです。 スピードこそもっとも遅いものの、一番疲れが少なくすみ、普通は1分間に110mくらい進みます。

速歩
これは、斜めに向かい合った2肢(たとえば右前肢と左後肢)が一組となって一緒に動き、それが交互にくり返される歩行です。普通、1分間に220mくらい進みますが、その速度を加減することもできます。スピードと疲労の兼ね合いからいうと、馬にとってもっとも経済的な歩き方です。人間でいえば、軽いジョギング程度でしょう。

駈歩
馬が跳躍するように走って、4肢が宙に浮く瞬間もある、スピードが出る歩行です。1分間に340mくらい走るのが標準的な駈歩ですが、馬の疲労度も大きく、それほど長い時間は走っていられません。 また、人間でいえば全力疾走にあたるものを襲歩ともいいます。

蚊のひと刺しにもご用心!吸血昆虫が運ぶ病気
動物の血を吸って子孫を残す、カ、ヌカカ、アブ、サシバエ、ブユなどを、吸血昆虫と呼ぶ。そのなかで、血を求めてほかの動物に果敢に向かっていくのはすべてメス。というのも、血は産卵の準備に欠かせない栄養源なのである。種の存続のために、彼女らも命がけで襲ってくるので、しつこいわけだ。この吸血昆虫は、その副産物としていろいろな病気を動物に感染させるので、小さいけれども油断のならない生き物だ。

わが国の気候は温暖湿潤で、北海道など一部の地域を除いて蚊にとって住みやすい環境である。現在では衛生環境が整備され、吸血昆虫と距離を置いて暮らせるようになったとはいえ、蚊の発生を根絶できたわけではないし、動物にとっては人間社会ほど環境がよくなったわけでもないので、吸血昆虫はまだまだ身近な脅威と言える。犬のフィラリア症、牛のアカバネ病、イバラキ病など多くの被害が発生している。

馬は人間や豚と同様、日本脳炎にかかりやすい動物である。その他、吸血昆虫を介して発病する馬特有の病気に、ゲタウイルス病などもある。この病気は発熱、発疹が特徴である。特に軽種馬は短い被毛におおわれた軟らかい皮膚をもち、汗腺がよく発達していることから、蚊の好物になりやすい。

病気の動物の血を吸ってウイルスをもつ蚊は、多くて1000匹に1匹程度しかいないが、最盛期に馬を戸外に放置すれば、一夜にして数百匹の蚊の大群に襲われる。蚊の体内でウイルスは数万個にまで増殖するので、人間や馬を病気にさせるのに十分な量を、たった一匹の蚊でもその唾液腺に蓄えていることになる。思いのほか危険度は高い。

馬の病気に関係する日本脳炎などのウイルスは、一定の気温、雨量のもとで流行する。これまでの調査では、関西以西では8月中旬、関東地方では9月中旬をピークとした前後2週間が最も危険な時期と考えられる。ワクチンを毎年流行期前に接種すれば、昔ほどの病気の心配はなくなっているものの、ワクチンは決して万能薬ではないことを忘れてはならない。また、たいていの人間は夢を見ている夜半に、数百匹の蚊に襲われている馬のストレスを考えると、蚊は馬にとっていまだ脅威的存在。 とりわけ北海道・東北産の若馬が迎える初めての夏は、十分な配慮が必要だろう。
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