競走馬の生産や調教技術の研修制度を利用して牧場に就職しよう
更新日:
軽種馬育成調教センター育成調教技術者養成研修
北海道浦河町にある、軽種馬育成調教センター(以下BTC) では、将来軽種馬生産地において技術的中核となるべき人材を育てるのが目的で、教育期間1年間の養成研修が行われているのをご存知だろうか。
BTCと言えば、イギリスのニューマーケットやフランスのシャンティを思わせるような広大なグラス馬場を中心に、坂路、ウッド、ダートコースなどを完備した日本が世界に誇る調教施設である。
それだけの施設をフルに活用し、またアイルランドの競馬学校と提携を結んで生まれた独自の教育システムで、しっかりとした指導を受けられるのだから、「将来は育成のプロになりたい!」と本気で願う若者たちに人気が高いことは言うまでもない。
この研修制度の募集は年1回。毎年、夏には募集が始まるそうなので、BTC のホームページなどをよく確認する必要がある。
応募資格は次のとおりだ。
・中学校卒業以上の学歴を有する者
・入講時に25歳以下の者
・体重60キロ以下の者
・身長155CM以上173CM以下の者
・研修終了後、軽種馬の生産・育成に3年以上就労できる者
・乗馬経験は問わない
BTC で行われる育成調教技術者養成研修は、「馬産地への還元」という目的で補助金が出されて成り立っている。
そのために受講者は素晴らしい施設の中で、充実した教育を受けられるにも関わらず、馬具以外にかかる費用は、寮の食費(月に約33000円)だけなのだ。最低でも3年間は、軽種馬の生産、育成牧場で働いてもらわなければいけないという理由が分かるだろう。
それだけにBTCでも、絶対に調教技術者になるという強い意志と決意を持った人間以外は取るつもりはないそうだ。
試験は1次で書類審査、そして2次試験では面接審査と適性審査などが行われる。
例年100名前後の応募があり、20名の合格者が選ばれる。
合格するとまずは6カ月間の基礎課程が行われる。その期間に騎乗技術を磨き、馬に関する様々な知識を勉強することになる。
そして残りの6カ月間で上級課程に入り、そこで1歳馬の馴致・初期調教等の高度な技術訓練が行われるのである。
日本軽種馬協会
軽種馬生産育成技術者研修
静内をメインとして、各地に種馬場を持つ日本軽種馬協会(JBBA)でも研修制度を設けている。
こちらもBTCの研修制度と同様に、1年間の全寮生活を送りながら、600へクタールに及ぶ広大な敷地の中で、生産と育成に関する様々な知識、技術を習得するプログラムになっている。
もちろん研修にかかる費用は、自分の馬具と食事代だけである。
学科だけでも、馬体の名称、体のしくみと働き、習性、進化の歴史、繁殖、育成、せりについて、飼料、衛生、防疫、運動生理、競馬のしくみ、馬術学と多岐にわたっている。
実技に関しても、日常管理、健康管理といった厩舎作業はもちろんのこと、ロンギングやドライビングなどの馴致、基本馬術、競走馬術、調教馬術、障害馴致など、馬に乗ったことがない人でも、1年後には見違えるような騎乗ができるように、きっちりとしたカリキュラムが組まれている。
また実習では種馬場実習などもあり、普通の牧場ではなかなか体験しえない、貴重な経験を積むことができる。
もちろんこちらも研修終了後に、軽種馬の生産・育成業務に3年間、携わらなければいけなBTCとJBBAはどちらも馬産地の評価が高く、「どちらの方が良い」ということは言えない。ただし、ひとつだけはっきりとしていることがある。本気でこの世界のプロを目指そうとしている人間にとって、どちらも最適なプログラムを用意してくれているということだ。
この両研修制度の修了者に対して、日高の様々な牧場からの評価はかなり高い。修了間近になると、ハローワークに修了者希望の求人が殺到するというのだ。
狭き門の上、ハードな研修内容をこなす価値は大。ぜひ、チャレンジしてはしい。
この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!