競馬新聞・雑誌を扱う会社への就職は厳しい現状

競馬新聞・雑誌を扱う会社への就職は厳しい現状

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競馬新聞・雑誌を扱う会社への就職ガイド
ここで取り上げる職種は、取材する記者(トラックマン、以降TM)、TMが取材してきた原稿を、新聞や雑誌に編集する編集者、その他アルバイトの3つを対象としたい。

次に説明したいのが、活字系競馬業界というジャンルは、極めて景気が良くないということ。
ほぼすべての企業が、新入社員採用の予定はない。むしろこれからリストラをしなくてはいけないと、ある競馬専門紙の人事課の方は答えてくれた。そんな話が出てしまうほど、競馬専門紙の売上げは、近年は凄まじい落ち込みを見せている。

かつては故大川慶次郎氏が在籍した名円競馬専門紙、『ケイシュウ』が南関東地方版を残し、全国版から撤退したことは、記憶に新しいところだ。「次はどこだ」なんて物騒な話まで出てくる始末だ。また厩舎取材の現場においては、とにかく顔を覚えてもらわなければ、相手にされないことが少なくない。

一般の新聞記者のように、事件現場に出ていって対象者を取材する訳ではない。したがって新入を入れてから、戦力になるまでには時間がかかる。それらが重なり各社の採用状況は厳しくなっているのだ。そんななか、いくつか競馬専門紙を取材してみると、共通のキーワードが浮かびあがってくる。それが「欠員がでたら随時競馬新聞のほうに求人広告を掲載いたします」というものだ。

しかし、ひとりですべての競馬新聞をチェックするのは、経済的にも、時間的にも無理だろう。しかし、友人の協力があれば不可能ではない。TMという職に就けば、関係者の情報をいかに掴むか、というのが仕事になっていく。その予行練習つもりで、たくさんの友達に声をかけ、競馬新聞を分担して買ってもらうなど、とにかく競馬新聞に採用情報が載るのを待とう。1ヶ月や2ヶ月で欠員募集があると思えないので、気長に、気楽に買い続けるのが、いいかもしれない。

参考として『1馬』が平成12年度に定期採用を行なっていたときの採用条件を紹介しよう。最終学歴は大卒または短大卒。取材記者は年齢25歳まで。要普通免許ということになっている。
編集記者は要普通免許ではない。

実際に美浦、栗束トレーニングセンターに行ったことのある人なら、トレセンの大きさは十分わかっていただけるはずだ。美浦トレセンは東京ドームの約48倍で、栗東トレセンは甲子園球場の約37倍である。徒歩で移動するのは無理。調教師や騎手は、トレセン内の移動は原付などを使用している。

また、TMが宿舎へ戻る際にも、バスなどの交通機関がほとんどないので、車が絶対必要なのだ。『1馬』の正確な求人倍率はわからないが、かなり高かつたという。しかし、『1馬』も現在は求人が行なわれておらず、やはり欠員が出た場合に紙面のほうで掲載すると言っている。

また、『ホース・ニュース』でも定期採用は行なっておらず、取材記者、編集記者、アルバイトに欠員が出た際に募集している。もちろん競馬新聞紙上でも求人するが、就職情報誌、アルバイト求人誌、馬社ホームベージにも求人広告を掲載するという。

結論として、競馬専門紙に就職したい人は、競馬新聞を買い続け、競馬新間の売上げに貢献することが前提となる。何の役にも立たないような話かもしれないが、競馬専門紙の現状はそれほど厳しい。自分が採用情報を見るかどうかは「運」が必要で、そのためには頻繁に情報を収集したほうがよいだろう。

競馬週刊誌の現状
次に皆さんが思い浮かべるのが『週刊競馬ブック』と『週刊ギャロップ』ではないか。現在、競馬週刊誌と呼べるのはこの2誌のみだろう。
1990年のオグリキャップブームをさかいに、競馬週刊誌は数多く創刊されたが、徐々にブームが衰退。1998年には『週刊ファンファ―レ』が休刊してしまった。

結局、残ったのが『週刊競馬ブック』と『週刊ギャロップ』である。毎年、多くの問い合わせが両社にあるようだが、やはり競馬新聞同様に雇用状況はかなり寒い。定期採用は厳しい状況になっているのだ。
『週刊競馬ブック』は本社が関西にあり、採用は一括で行なわれている。試験は東京でも行なわれるが、入社後の配属等はすべて関西の本社で決められる。

しかし、老舗の『週刊競馬ブック』でさえ、平成11年4月の募集を最後に、定期採用を行なっていない。今後とも行なう予定はないという。取材記者と編集社員に欠員が出ると『週刊競馬ブック』誌上、および競馬新聞の『ブック』紙上で募集を行なう予定である。

『週刊ギャロップ』は単独での社員募集は行なっていない。アルバイトの募集は行なっていることもあるが、基本的には産経新聞の入社試験で行なわれる。『週刊ギャロップ』はあくまでもサンケイスポーツの一部であり、サンケイポーツに入社するためには、産経新聞の採用試験に合格しないといけない。配属は入社後に決められ、希望が通らないこともあるという。なにがなんでも競馬、と考えているのなら、遠回りも覚悟しなければならないだろう。

競馬月刊誌
『優駿』や『サラブレ』、『競馬最強の法則』などが人気どころだろう。
『優駿』は中央競馬PRセンターが編集を行なっている。仮に入社したからといつて、希望通り『優駿』の編集部に配属されるとは限らない。また、PRセンターは数年前まで、大学卒を若千名ながらの採用を行なっていたが、現在は求人を行なっておらず、今後も出す予定はないとのこと。

『競馬最強の法則』は発行元のKKベストセラーズで、一括して募集している。欠員が出た際には、一般新聞紙上で『競馬最強の法則」として求人募集を行なう。またKKベストセラーズのホームページでも公募を受けつける。

『サラブレ』は発行元がエンターブレイン。『サラブレ』も単独では定期採用を行っておらず、欠員が出た際に、エンターブレインで求人広告を出すこともある。『サラブレ』単独では、アルバイトの求人を誌面で行うこともある。正確ではないが、目安としての求人倍率はおおよそ30倍以上。非常に狭き門となっている。

スポーツ新聞
まず競馬記者としての募集はどこの新聞社も行なっていない。スポーツ新聞記者として入社後にどの部に配属されるかは、入社してみないとわからない。サッカー担当になるかもしれないし、風俗担当になるかもしれない。だが、入社してしまえばこっちのものととらえるのなら進んで受験したほういいだろう。

注意点として、東京と大阪ではそれぞれ独立して採用を行なっている新聞社が多い点だ。東京がだめでも、大阪で採用される可能性がある。積極的に試験を受けに行ったほうがいいだろう。ただ、サンケイスポーツだけは産経新聞の採用と一括で行なわれる。夕刊紙でも夕刊フジは上記の通り産経新聞の一部として行なわれる。夕刊ゲンダイは定期採用を行なっていない。欠員が出た際、アルバイト募集は新聞紙上で求人を行なう。
東京スポーツもホームベージなどで情報を集めたほうがいいだろう。

取材していて思ったことは東京より大阪のほうが門戸が広い気がする。人事担当の対応は、大阪のほうがウェルカムな雰囲気が伝わってくる。大阪で独自に採用が行われていることを、もっとアピールしたいのではないか。実際、競馬は完全は関西を中心に動いている。競馬自体の人気も関東より関西のほうが高い。まだまだ、採用のチャンスはあると思える。



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