ホースマンになるための学校に入って牧場作業を覚えよう

ホースマンになるための学校に入って牧場作業を覚えよう

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どうすればホースマンになれるか
まずは勉強だ!

いざホースマンになりたいと思っても、飛び込んでみてなんとかなるという世界ではない、馬が好きでたまらないという情熱だけでは、門を開くことすらできない。
いきなり牧場に行ったって、雇ってもらえることはほとんどない。

万が一雇ってもらえたとしても、任される仕事をどうやってやればいいのか見当すらつかない馬の仕事をこなすためには、雇用上のお金(給料)や先輩たちの時間を無駄にしながら身に付けていくしかない。
しかも、目標がJRAの厩務員だったとしたら、牧場で3年間の実務をこなさなければ、競馬学校の厩務員課程の受験資格すら得られない。

では、どうしたらいいのか?
そのひとつの答えが、馬全般について学べるスクールに入ること。そんな学校ならば、馬に乗るどころか触れるのも初めてという初心者を対象に、広範な知識と技術を叩きこんでくれるのだ。


ホースマンになるために
学べるスクールの人に、コースやカリキュラムについて説明していただいた。
「ウチでは1年コースで4月開始と、10月開始とがあります。JRAの厩務員や生産牧場、育成牧場など、馬の仕事に携わりたい方、馬が好きでやる気があり、共同生活のできる方なら、どなたでも応募していただけます。一番の特色は、座学で教科書を使う勉強よりも、実際の作業を数多くこなしていくことです。それによって、就職したその日から、牧場で困らないような技術を身に付けられます。

また、日々できるかぎり多く馬たちと接することで、肌で馬という生き物を知り、理解することができる、ということでしょう。」実際の作業とはどんなものだろう?「たとえば、牧場に就職した場合、必ず行なう作業のひとつに草刈りがあります。就職先の牧場は、大きな規模のところとは限りません。

そうすると、モーター付きの草刈機を使う場合も、また、草刈鎌で刈る場合もあるでしょう。でも最近の10代の子たちで、草刈鎌を扱える子はほとんどといっていいほどいないですよね。ウチでは、モーター付き草刈機の操作はもちろん、草刈鎌の研ぎ方、使い方まで教えています」たしかに、イマドキの若者で、草刈鎌を使える人がいたら、かえって驚きだ。しかも、砥石を使って刃物を研ぐことなんてないだろうし、道具の手入れからして、きちんと教わらなければできないというわけだ。他には何を教わるのだろうか。

「やはり、必須の作業としては厩舎内業務ですよね。ひとくちには説明できないほど多岐にわたっています。たとえば、飼料の袋を倉庫から出してくる場合。たいていは、一輸車に積み込んで運ぶでしょう。積み込みのバランスのとり方、移動のコツ、単純なようでもいぎやつてみると難しいんですよ」たしかにそうだ。「ボロとりや寝ワラ上げ、うちはワラではなくオガ粉を使っていますが、馬房内の清掃や整備も重要な授業です。

地味で、しかもキツイ作業ですが、これができなければ馬を扱うことはできませんから」なるほど、キツそうだ。たまたま、乾草の梱包(乾燥牧草を圧縮したプロック。ひとつで50~60キロはある)を業者さんが納品に来ていて、生徒さんが飼料倉庫に積み込むところを見学させてもらった。まず、ころがして目的の場所まで移動するのに、支点としての腰の使い方がわからない。持ち上げるのも同様。

そんな生徒さんたちに、自らお手本を見せながらコツを教えているのが、先生だ。「現役の馬の扱いと育成の馬の扱い、それに乗馬用の馬の扱い、これらはそれぞれに違いがあります。僕も、生徒と一緒に勉強中ですよ」


ホースマンの資質
先生は、競馬業界の生きた情報、技術を教えてくれる最高の教師だ。そんな先生に、生徒さんたちへの感想をうかがった。
「この仕事で最も重要なポイントは、相手が生き物だということでしょう。馬たちの生命を預かり、また、関わる人間の生命もかかっています。誰だって、最初からできる人間はいませんから、やらないとおぼえられない。たいへんなのは当然です。

それを覚悟の上で入ってきてるはずですから、もうちょっと根性を見せて欲しいかな。本人のやる気次第で大きな差がでますから、長い目で見てやらねばと思っていますが……」たしかに、馬に関わる仕事で扱うものは生命であり、なおかつ馬主さんの非常に高価な財産だ。そして、自分たちの生命が危険にさらされることだってある。そのプレッシャーたるや、並大抵のものではないだろう。

また、日常生活では使うはずもない特殊な用具を使った様々な作業があり、それに習熟するだけでもけっこうな時間を要しそうだ。飼桶洗い、馬具磨き、ベンキ塗り、柵直し、果ては敷地内の植木の手入れなど、およそ生徒たちが経験しない作業はない。

ただ、こんなにキツイ、地味なことばっかりをひたすらやるんだろうかと、少々心配になってきたのも事実だ。しかし、その心配は、すぐに羨ましさに変わったのだ。



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