競馬場の馬場状態を判定するいくつかの方法
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良、やや重、重、不良。これは、馬場状態の表示である。競馬は、天気「晴」、馬場状態「良」で行いたいものだが、天候ばかりはいかんともしがたい。それでも最近は、雨に強い馬場づくりがずいぶんと進んできた。1989年大改造された福島競馬場も、雨に強い芝馬場のひとつである。特に1990年第1回福島競馬の第2日目は、大雨にもかかわらず馬場状態は終日「やや重」で、それまで雨に弱いとされてきた競馬の印象を完全に払拭する契機となった。馬場状態の四段階表示は、日本競馬会時代の1923年秋の『競馬成績公報』から使用されていた。1919年の『競馬倶楽部』によると、良に当たる状態は「佳良」「和良」、やや重には「湿」、不良には「やや不良」「泥淳」。現在の「重」は1921年の日本競馬会時代に登場してくる。湿・泥淳といった表現から推察すると馬場の含水状態表示らしく、現在の判定方法の原型と言える。ただし、最新測定器でも時間を要する含水率測定は、当時は行われていなかったと思われる。
馬場状態判定に参考とされる含水率は、含水比と混同されやすい。いずれも土中に含まれる水分を表示したものではあるが、〔含水率〕=〔水〕/〔土+水〕× 100%、〔含水比〕=〔水(乾燥土に含まれた水)〕/〔土(水を含んでいた乾燥土)〕×100%となるから、たとえ同じ数値であっても意味は違うのだ。通常、含水比は含水率より高く表わされるものである。 含水率が採取場所によって異なることは避けられない。
それはひとつの客観的データとしてそのまま提供されるが、これだけで馬場状態を適切に判断することはできない。その情報をより適切に処理するためには、人間が実際に現地に行って馬場踏査をする。
最近、ビデオカメラの逆光露出補正などにファジー理論が盛んに利用されている。いろいろな情報に基づいて、あいまいさを含んだ「どちらかといえば」という、その場に応じた選択処理を行うのだ。コンピュータの客観的情報と人間の経験と感覚、この二つを最適に処理する。要するに、馬場状態判定はファジー理論実践の元祖なのだ。
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